祭祀クーラスとエインスベル(六)
朧月夜
「ご主人様、どうなさいましたか?」駆け付けた衛兵の一人が口を開いた。
「ここにいらっしゃる方々は、何者なのです?
貴方を害そうとしているようには思えませんが……」
「何を言う。この者たちの敵意が感じられないか?」と、祭祀クーラス。
「分かりません。わたしどもには、この者たちが敵だとは思えないのです」
「無能な連中め! 待てよ、エインスベル。魔法を使ったのか?」
「当然です。身の安全は確保させていただきました。
彼らには、エルム・ネストの魔法をかけました」
「ではなぜ、わたしにはエルム・ネストをかけなかった?
お前をすぐさま殺せる力が、わたしにはあるのだぞ?」
「それはどうでしょうか。祭祀の力と魔導士の力の差、確かめますか?」
「……それでは、どうしてか?」祭祀クーラスが唇を噛む。
「貴方の本心を知るためです。そのためには、わたしたちは敵同士でなければいけません」
「コントロールされた心は、本音を吐かないというわけか」
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クールラントの詩