危機一髪
リリー
それは悪しきわけでもない朝だった
腹下しの胃袋には一杯の
ホットミルクだけ
唯 出勤に気乗りしない私を乗せる
駅の上りエスカレーター
改札口を通り抜けた時
気持ちを掠めた
昨日の朝
出掛ける家の玄関に
鍵をかけて見あげた空は
今まさに一筋の飛行機雲が描かれて行く
眩しかった鵬翼は爽快感と共に
今日の空の予感も匂わせた
そして気乗りしないまま乗り込んだ
混み合う車輌
車窓から見える空模様
すでに
それはどうでもよかった
下腹の鈍くシクシク痛む
薬はまだ効いてこないのか?
早く 着かないか
通勤電車は 一駅なのに
今日という日の
嗚呼、なんて果てなき
いま