危機一髪
リリー


 それは悪しきわけでもない朝だった
 腹下しの胃袋には一杯の
 ホットミルクだけ

 唯 出勤に気乗りしない私を乗せる
 駅の上りエスカレーター
 改札口を通り抜けた時
 気持ちを掠めた
 昨日の朝

 出掛ける家の玄関に
 鍵をかけて見あげた空は
 今まさに一筋の飛行機雲が描かれて行く
 眩しかった鵬翼は爽快感と共に
 今日の空の予感も匂わせた
 そして気乗りしないまま乗り込んだ
 混み合う車輌

 車窓から見える空模様
 すでに
 それはどうでもよかった
 下腹の鈍くシクシク痛む
 薬はまだ効いてこないのか?
 早く 着かないか

 通勤電車は 一駅なのに

 今日という日の
 嗚呼、なんて果てなき
 いま


自由詩 危機一髪 Copyright リリー 2023-01-18 17:15:42
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