いっぴきの小鬼のうた
秋葉竹
ポツポツと降る哀しみに
今夜も心に穴が空く
ホロホロと鳴る哀しみに
胸の奥までビショビショだ
帰って来ないあの方の
綺麗な小指を想い出す
夜道にゴロンと棄てられた
肉塊みたいな『大好き』や
煙草の煙を吐くように
ちょっと軽めの『愛』を吐く
ポツポツと降る哀しみに
ましろな躰がけがされて
忘れられない想い出が
賛美歌のように流れてる
川はいずれは海へ着く
人はいずれはきっと死ぬ
まるで輝くジンライム
みたいな気分で生きてゆく
冷たさなんて感じない
時代の流れのうえを舞う
ひらひらひらと
舞う蝶を
ただ手を伸ばして追いかける
ホロホロと鳴る哀しみが
其処(そこ)此処(ここ)世界に吹く夜は
つくりばなしを
しましょうか?
ポツポツと降る哀しみが
よるの夜中に凍りつき
ホロホロと鳴る哀しみが
氷の涙に変わるとき
あのときわたしの裸を撫でた
『大好き』だったあの方の
あのとき熱いキスしてくれた
『愛』してしまったあの方の
そのあとくちびる撫でてくれた
いまもういないあの方の
綺麗な小指を想い出す