かりそめ八景(または、ことばの引用)
乾 加津也
一
身振り手振りで伝えたい
深い虚構の 底のあたりが現実で
水面は空想
二
現実と空想の間に渦巻く 蚊取り線香 π生地仕様
人 は測量に熱中
人 以外は行楽に夢中
三
心地よいメートル法がグローバルスタンダードになりました
謎解きに 驚き
ユーモアで豊かな人生とは 言い得て妙
四
(電気じかけの)空の流血
初子を抱く腕 血中濃度
止血は 流血から生まれた「ことば」
五
人は現実に生まれた 虚構の正体なので R
朽ちて 滅びて 跡形もなくなる
羽化の仕方を考えながら
六
在る日のこと
ブランコの錆と夕焼けは 流血と申し合わせて わざわざ古代人を襲う
赤ら顔のことばも真っ青にして
七
どこかとどこかは 繋がっている 正しい
こことそこは 繋がらない それも正しい
政府は水際対策を強化しました
八
例えのビジョンが 虚構のカーテンを証明する
「たとえ」天地が覆ろうとも
覆水は盆に返りません
九(おまけ)
・・・・ ・・・・・・・
・・・ ・・・・
(タイプライターやってます)
=====凡例
四は 六を孕み
一は 七を反芻する
think too much それもこれも