ツラヌカレ
ひだかたけし
こころの奥底、
眠るふるさとは
誰もがやって来た処
記憶という不思議なもの、
どんどん遡ってふっと浮かぶ
ぼぅとひろがる子宮の向こう
言葉の以前、言葉の以降
緑の草原に赤い花、ぽっと開き咲く
ように、
純白の処女雪原にぽつぽつとついた兎の足跡
のように、
それは優しく透徹と在るのです
今日の夕べ、
東の空に昇る月、白々と冷たく
西の空に沈む太陽、黄金に燃え
計算される物理宇宙を遥か超え、
ヒビキ懐かしい木霊の宇宙
意識思考合一し、
沸き立つ感情は限りなく
こころの奥底、
微睡むフルサトは
皆がみんなやって来た処
私たちは還っていく、独り独り
私たちは支えられている、それぞれ
私たちは生きている、繋がり繋がり
在る者 在る物、全てすべて
貫かれて、
ツラヌカレ
還っていく、現わされている、生きている