ときどき(冬)
AB(なかほど)

  


空を眺めてると
涙が出そう
 って君は嘘をつく
ときどき
そういう意味のない嘘が
心地よくてしかたがない
今日も
寒い一日
北風に
首をすくめて
相変わらず僕は間が悪く
グラウンドの向こうの裸木と
赤くなる鼻先
空に消えてゆく声に
君よりも先に
うつむいてしまう
そんなとき君はときどき
意味もなく足をぶらぶら
としてくれる

いろんなニュースを聞く
いろんな映像を見る
忘れてはいけないことや
今すぐ自分の心に問いかけなければいけないこと
がある
そのために歩きださなければいけないこと
がある
そんな日でも
君はときどき
なんの意味もない嘘をついて
僕は
こんなにも穏やかに過ごしている

今日も寒い一日
僕は世界のニュースよりも
筋状の雲の間の晴れ間を待っている
その陽射しがあのニュースの人にも
届くといいね
なんて
相変わらず僕は間が悪く
君は足をぶらぶらとしている

  



   


自由詩 ときどき(冬) Copyright AB(なかほど) 2022-12-31 19:22:55
notebook Home 戻る