「遥かソフィア」
ジム・プリマス

詩を書くつもりなど無かったのに
またワードを起動してしまった
詩の投稿サイトを覗いたら
自分の詩にポイント通知が三通ついていた
それに気をよくして調子に乗っている

倦怠感に抵抗しながら台所に立つ
洗い物を片付けてご飯を炊く
今日の献立はキャベツと油げ入りの豚汁だ
豚は油っぽいが白味噌は淡泊な味なので
豆板醤を入れて辛くしてみよう

陶器のお椀に味噌を入れて出汁でとく
それを鍋に入れ、三回、繰り返したところで
味を見ながら豆板醤を少しづつ入れる
豆板醤は意外と塩分が強いので注意が要る
鍋いっぱいの辛い豚汁が出来た。夕食が楽しみだ

今日は久しぶりにYouTubeから
ビリー・ジョエルの曲を流して聴いている
中学生の頃から聴いていたのだから
四十年来のファンということになる
今では神となった尾崎も好きだと言っていたっけ

あの頃、柴咲コウ似の同級生に恋していた
二十歳前の時、ゆき違って以来、一度も会っていない
結局、彼女のことより自分のことが大事だった
そのことに気づくのに四十年以上かかった
最後に会った十七歳の面影はもう薄れてしまった

その後で河北の地でイザベラと出会い
イザベラに本当の愛を教えてもらった
それまでの俺は精神が歪なジャガイモのようで
完全に凍てついていた。砂を噛むような焦燥に
耐えて来られたのは全てイザベラのお陰だ

長い夜明け前の闇も去り、風の時代が到来して
イザベラとの再会も訪れるのではという
淡い期待を胸の中で大切に抱きしめながら
寒い部屋でシケモクに火をつけて紫の煙を吸い込む
遥かソフィアの地のイザベラに想いを馳せて



自由詩 「遥かソフィア」 Copyright ジム・プリマス 2022-12-26 21:51:14
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