夜想3
ひだかたけし
夜が更けると
くしゃみする、
わたしが居る
満ち足りて
今夜は降誕祭、
クリスマス
キリストの受肉を
祝う時、
光の神霊が語りかける
)残り少ない人生の時間を
)わたしに賭けること、
)あなたにはできますか?
思考を意識を魂を
物質的感覚的位相から解き放つ
その日々の営為の継続にて、
わたしはあなたに賭けている
根源の憧憬の光景に支えられ
認識衝動は燃え盛る
*
広大な雪原から
独り視た、
遠く聳え立つ雪峰の
白く柔らかな頂きの在る
小学五年の少年の
心を魂を揺り動かした
その厳しく温かい光景、
懐かしみ畏れ憧れ求めて
僕は必ず彼処に行く、と
僕は必ず彼処に達する、と
根源の憧憬の光景に支えられ
認識衝動は燃え盛る!
今夜は聖なるクリスマス
夜は更けゆき
くしゃみする私、
白い小部屋の片隅にて
グラスの氷塊を噛み砕く実感に
未知なる次元の実体の像、
内面にポッと浮かび上がる
その瞬間を待ちながら
押し寄せる記憶の断片に
ふと気付けば囚われる
己の弱さと格闘する
*
日々は続く、日々は刻まれる
わたしの夢の外で
世界は宇宙は生動している