イリアスの矜持(一)
おぼろん

二日の時が経った。フランキスは、
再び祭祀クーラス邸を訪れていた。
そこで交わされる密談は、今後のクールラントの行方、
そしてライランテ大陸の行方を必ず左右するはずだった。

その時、祭祀クーラスの背後の書棚が、音を立てて動く。
それは、クーラス邸の地下通路へと通じていた。
そこへ、麻袋を担いだ面々が表れる。
オーバ・ニーチェの構成員たちである。

「祭祀クーラス様。あなた様との契約を無事果たしました」
「つまり……。イリアス・ナディを攫って来たということか?」
フランキス・ユーランディアは、己の無力を感じて歯噛みした。

「これで、一方の作戦は成功したのですね?」と言う。
祭祀クーラスは、勝ち誇った笑まい浮かべて、頷いた。
「そうだ、アースランテに打撃を与えられる」


自由詩 イリアスの矜持(一) Copyright おぼろん 2022-12-24 13:07:25
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クールラントの詩