「世の中しんどい」
モマリサ公


垂れ幕が上がるとそこに
泥水が何本もペットボトルで
中には水色もあったよ
螺旋状においてあってさ
それを飲み干さないと
前へは進めず

別に前じゃなくてもいいけど
いつもの待ち伏せの道を
ずーっとぐるーっと遠回り、で
逃げながら喉がカラカラ
ひっついて裏返りそうだった
どこまで走ったか意味フメーで
帰り道わからなくなった
逃げて、とかどっかの私が言う
つらい。悪いことじゃないのにね

透明の銃の手入れをしている
いつでも撃てるほどにピカピカに
撃ちたい奴から順番に番号をふって
撃たなきゃならないから順番に撃つ
今は率直に言えば
めちゃめちゃ「絶」しかないから
膝を抱えて
セロファンでつくったボール
つつきながら死なない程度に
がんばれっていうか
そーいうこというやつ、もうなんてーか
てかそもそもみんなしんどい

会話とか全然わかんないし
ときどきしかがんばんなくても
急に回転しながら登っていく
風船みたいで十分じゃん
つつがなくクラゲを傘にして
海の家のシャワー
ゲラゲラ笑う声が聞こえて
別にあびなくてもいいよシャワー
気持ち悪くないならだってほら
てゆーか一人でいたほうが良くない?

ね、だらだら生きよう
群れたりとかばかみたい
必要ないから「し」ネバーいーのにー
イヤフォンでバリケードして
シラフでいじめっこ達の
ターゲットにされても大丈夫
殺したい順のナンバリング忘れてない
裏アカでイカれたイイネもらって
お布団からずっと出なくてもいいね
頑張れとか言うなよな、うざい
変わるなとかそのままでいいとかも
きしょい
逃げたって逃げたって問題は形を変えて
やってくるんだよ
あ〜あやだなぁもぅ
誰とも話したくないな〜

ここはどこなんだろう
ちからこめてぐっと圧をもらって
上にさらに上がって上がりながら
あたりをみまわして上空でする自己暗示
あたしは、エンジェルだった
スピードを上げて町内を視察する
やな奴の家を破壊してまわる
あ、た、し、は、エンジェル!
最後、家の天井にしばらくひっついて
ニコニコ笑ってら

今日も保健室しか
なんとなく行けてなくて
家にもなんか帰れない
なんかこわい
地下鉄がいきかうたんびに
黄色いブツブツを踏ん付けて
大丈夫ありがと

あたし
めくるめくメンタル特別だから
へとへとになっても
全然かわらない
ビルの屋上には
ヘリポート
逃げよう
逃げようよ


自由詩 「世の中しんどい」 Copyright モマリサ公 2022-12-20 11:18:42
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