聞こえてきた声と音について
nia

女は3ヶ月の子供がいるわ、と話し始めた
薄暗い室内灯が小さな女の顔を照らしていたせいか幼く思われた
主人とは別居しているの、と私が返事をする間も無く続けた
どこか一点を見つめながら暗誦するように言葉を出し続ける
主人は働いていないから私が少しは働かないと、女はそう云った
女の表情には陰は見えず、特別迫る説得力は無かった

生きる欲求を持つべきだと君が書いてきたが
今日の僕はそれを欠いている
私の姿は時折無くなった、人々は動いている、その音が遠くや近くで聞こえるようにも思える
辺りを見渡してみる、周りの音は室内を埋めるが溢れる程では無い
呼吸をして自らが存在しているかなどと思う


自由詩 聞こえてきた声と音について Copyright nia 2022-12-11 15:42:27
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