五行歌、五感の未知
ひだかたけし

漆黒の
闇の静かさに
潜むもの
余白、一拍
風吹き抜け

傘がない
貴女に逢いに行かなくちゃ*
街はイルミネーション
降りしきる
雨、冬の

開ける海
初めてみた
その広漠に
巨大な静かさ
波打ち

喜んでも
憎んでも
既にいつも
手遅れ、
生という躍動

混沌と虚脱と覚醒と
目まぐるしく入れ替わる日々に
意志と思考と感情と
持続させる
根拠、見い出し

憧憬は
夜底で聴いた
恒星の光のうた
その余韻に繰り返し
耳澄まし身を委ねる

意味はない
意味をこえ
言の葉舞う
静かさの奥
五感の未知










*井上陽水「傘がない」より借用


自由詩 五行歌、五感の未知 Copyright ひだかたけし 2022-12-10 19:18:56
notebook Home 戻る