五行歌、五感の未知
ひだかたけし
漆黒の
闇の静かさに
潜むもの
余白、一拍
風吹き抜け
傘がない
貴女に逢いに行かなくちゃ*
街はイルミネーション
降りしきる
雨、冬の
開ける海
初めてみた
その広漠に
巨大な静かさ
波打ち
喜んでも
憎んでも
既にいつも
手遅れ、
生という躍動
混沌と虚脱と覚醒と
目まぐるしく入れ替わる日々に
意志と思考と感情と
持続させる
根拠、見い出し
憧憬は
夜底で聴いた
恒星の光のうた
その余韻に繰り返し
耳澄まし身を委ねる
意味はない
意味をこえ
言の葉舞う
静かさの奥
五感の未知
*井上陽水「傘がない」より借用