ガージェス・ノルディア(五)
朧月夜
事態というのは、刻々と移り変わっていくものである。
しかし、長い間平和な時代が続いたライランテ大陸では、
今回の戦争は、痛手と悲痛とをもたらすものだった。
「戦争というものは、誰が勝ってもおかしくないのです。そして、負けることも」
「お前は、祭祀クーラスに忠実な者だと思っていた。
そして、俺に何の用があるのか、それを知りたいと思っていた。
しかし、お前は祭祀クーラスすら欺こうというのか?」アイソニアの騎士が尋ねる。
「左様でございます。わたしは、オーバ・ニーチェ。真実を求めるものです」
「オーバ・ニーチェとは、何だ?」と、再びアイソニアの騎士。
「オーバ・ニーチェとは、祭祀クーラスが張り巡らせた、密偵網です。
ですが、このオーバ・ニーチェも一枚岩ではありません」
「イリアス・ナディを、ここで解放しましょうか? わたしに従ってくれるならば、ですが」
ガージェス・ノルディアは、明らかにアイソニアの騎士を試していた。
値踏みしている、と言っても良かっただろう。まさに闇の人間である。
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クールラントの詩