囚われたイリアス(三)
朧月夜
「あなたはまず、アイソニアの騎士をおびき出すための、餌です」
「アイソニアの騎士とは……グーリガン・ハルガンテ様のこと?」
「そう。クールラントでは、アイソニアの騎士と呼ばれていた男です」
「わたしは、この国に来てからのグーリガン様しか、知りません」
「かつては、数千人の兵士を屠った男。そして、ドラゴンを倒した男でもあります」
「あのようにお優しい方が……」イリアスは、少し涙ぐむ。
「人は変わるものですが、それは単なる仮面ということもあり得ます。
アイソニアの騎士は、この世界にとっての毒なのです」
「わたしの代わりに……グーリガン様を亡き者にしようというのですか?」
「わたしが依頼されたのは、そのようなことではありません。
あなたを誘拐し、アイソニアの騎士をクールラントに取り戻す、
というのがわたしの使命でした」あくまでもクールな調子で、ガージェスが続ける。
「しかし、今では違ったことも考えているのですよ。
あなたとアイソニアの騎士を利用してね。世界をわたしのものにすると」
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クールラントの詩