夜の空の下の方
えのき



夜の空の下の方に
細い三日月がずり落ちかけていた
ここからは空が下の方までよく見える

髪をふたつに束ねた小さな女の子が
泣きながらかけて来て私の横を通り過ぎた
女の子は私を見なかった

女の子は夜の道で泣いていたけれど
私に救いは求めていなかった
私は声をかけたいと甘えるように思ったけれど

またずり落ちかけた三日月が見えた
鋭く光る三日月だった
三日月はずずずとずり落ちた



自由詩 夜の空の下の方 Copyright えのき 2003-11-27 02:47:25
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