ひだかたけし

葉影は優しく
金色の光彩に
濃い斑の筋を引き
森の入り口に
伸びていた
目に見えないもの、
目に見えるもの、
それぞれ同等に
照らし出す
秋の日差しが
彼女の瞳の奥に
不思議に魅惑的な
光を宿させていた

雨の匂いがした
雨の中を歩いて来た
緑の野原が広がり
その手前路上に
杖をついた片腕の老人が
雨に打たれぽつねんと
ひとり立っていた
その向かい
向き合いながら
緑の野原に
白い裸の少女が
やはり雨に打たれ
立っていた
対峙する、
鋭利な輝きを宿した
一対の瞳

何処までも闇に閉ざされた
一対の眼

時間は意味を
なくしていた

彼女の瞳の
不思議に魅惑的な光を受け
森は奥深く広がっていた
見えないもの、
見えるもの、
両者がせめぎあい
くっきり濃密な
輪郭を形づくり
力動している
森の存在、
彼女の瞳は
そのことを
映し出していた

雨の匂いがした
雨の中を歩いて来た
意識の窪みに
旧い記憶の光景と
新しい記憶の光景を
同時に並列させ見い出し
彼女の存在を
信じたり、
疑ったり、
迷い確信し
歩いて来た

白い裸の少女と
心の深い傷、肉の戯れ
杖をついた片腕の老人と
戦地での殺し合い、消えない光景

波打つ光の残響、
雪原遠く聳える雪峰、
憧憬は誘い予感は流出する

  *

葉影は優しく
金色の光彩に
濃い斑の筋を引き
森の入り口に
伸びている

目に見えないもの、
目に見えるもの、

それぞれ同等に
照らし出す
秋の日差しが
彼女の瞳の奥に
不思議に魅惑的な
光を宿させている


わたしは森の入り口に辿り着いた
わたしは彼女の存在を受け容れた

響き渡る森、魂の光景

私は森の中へ歩み入る























自由詩Copyright ひだかたけし 2022-11-18 19:24:23
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