エゴイスト
soft_machine
鶺鴒が笛をふくと
ひかりの道がひろがる
川底には無数の足あとがあって
小鴨の娘たちに
ひとつぶのエメラルドをさす
風にきりきりさからって舞う
猛禽の凧
こんなにも
美しくあふれる世界は
実はとっくに爆発していて
燃えさかり
溶け砕けるをくり返し
「あれはかわう」
ひとりごち
色をかわすのかも
もう冬だというのに
蚊柱に追われ
やつれた花をとび
芝をふみつける
エゴイスト
町のはずれの
ふかい杜にひそむ
精霊たちの訛りが
駆けすぎる子どもらの背中にぶら下がり
わたしはお賽銭を
弾もうとおもう
藤棚なんかあって
友だちが淹れてくれた珈琲にまどい
はつ雪はゆっくりくだけ
指にふりつむ