アジの開き
ひだかたけし

愛しい、という感情
愛しい世界、というオドロキ!




アジの開きが店頭に並べられ
幼子は母親が店内で勘定を済ましてくるのを
待っていた
アジの開きを弄りなから、
長らく長らく待っていた

手のひらで

突然、アジの開きがピッタリ
閉じ重なり、一個の魚の形になった
幼子はびっくり
アジの、開き、という
名前も気付かず
アジの開きはアジの開きの形のまま
海を泳いでいる、と思っていたから

一個の一匹の魚の、
突然の出現に

幼子はひっくり返りそうに
驚いた
アジの開きはアジという
一匹の魚を開いたモノ、
だった!
アジという存在の不意の出現、
アジという 命名されたモノの存在!
幼子は
その実在感に認識に
戦慄し立ち尽くした

アジという一匹の魚の鱗、銀に輝き





愛しい、という感情
愛しい世界、という揺動!

命名する、コトバは廻るよ世界のモノ
人から人へ伝わり響き
私の処へやって来た
コトバは他者、表現の他者
内部から湧出する
イメージがヴィジョンが
世界を回遊する
一つのコトバを捉える

いとしいせかい ひろがっている

世界は律動するモノに満ち
回遊する言葉の命名を待っている

アジの開き、アジの存在!

私たちが発見し表す、
愛しい世界、在るモノたち

私たち人だけが認識する、

セカイ という 愛しい実在!









自由詩 アジの開き Copyright ひだかたけし 2022-11-11 18:18:54
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