悲しい眼球  2分
モマリサ公

そして今また大切な
ものを失くしてそれを
アマゾンしようとしていて
して
しばらくして現実
見つかって
こっちも罪悪感が
無いわけじゃないんで
サラジーの重たい
写真集を
開きカメラで
写真を切りとり
何の参考にも
ならない生き方を
更新して
晴れ渡る空
ベランダの手すりは
ひかりかがやき
強風にやられる
洗濯物は
バタバタし
向こう岸の曇天で
灰色く重たい
雲の中を
鳥たちが羽ばたく
そこから斜めに
水滴が
道路まで落ちていく
シャワーをあびて
パンツをあげて
めくれ上がる唇と歯茎のあいだを細やかな泡と歯ブラシが左右する
リズミカルな心音
それぞれの
ホームタウンで
どこも同じように
今週がはじまる
見えない
約束が破れ
さりげなくルールが
守られ
ハーベストで
重たく膨らむ
種子の房たちが
波打つ
刈り取られた
茎が
汁をはき
生命的なバイブスに
あふれ
空気が
緑に染まり出す
吸い込む
夜がまた来て
あたりは暗くなり
細かに星が
うつろいまた消えて
つらい気持ちが
さらにのしかかり
軽トラのように
ゆっくり道を進み
今帰る家もあり
寝るへいたんな
床があり
静かな眼球が聞こえ
あたりがいっせいに死んで
もう一度生き返る


自由詩 悲しい眼球  2分 Copyright モマリサ公 2022-11-09 01:11:22
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