ミッドナイト・ラブ
秋葉竹



その深き夜
ぼくたちは
この世界に流れる
この世界の闇に棲みついた
ふたりっきりの
夜なのだと自覚した



それからぼくたちは
かつてよりよく知っていた幸せを
なんとか取り戻そうとするのだ

だれにもできない
永遠の愛をふたりが
ぼくたちふたりだけが
手に入れることができるとは
じつは信じていないんだけれど


『どちらかが
先に死んだとしても
残されたひとりは
幸せなまま生きていける』
という
永遠の幸せ

そんなもの
あるわけ
ない

けど

あると
ふたり
信じようとして
信じようとして

ある日気づいてしまうのだ
残された夜は寂しいという
嘘をつけない真実に


ふたりはふたりして
もはやどうにもならない
孤独の恐怖に
襲われることとなる

それからぼくたちは
かつてよりよく知っていた幸せを
なんとか取り戻そうとするのだ

だれにもできない
永遠の愛を手に入れることなんて
ぼくたちにもとうてい
できやしないんだけれど

手に入れられないとしても
今のこの愛は嘘じゃないんだからと
刹那の愛にすがろうとする

それがたとえば今夜だよ

可能なかぎり
アッチの世界へ行こうとする
ね?
行っちゃおう、行っちゃおう、
どこまでも、行っちゃおう、
って、
そんな刹那な愛だから、
ぼくたちは
羽目外して
みだれまくるんだって
愛が可憐な夢物語から
逃れたくって
その日だけは
狂いまくるんだって

ぼくたちを

知りもしないあなたたちは

なにも知らないでしょう?

もちろん、
永遠の愛なんて
考えたことも、ないんでしょう?

永遠の愛にこだわる
なんて
そんな愚かなオトナは
どこにも
いないよね?

いいよ、だから、ぼくたちは
ただ、ぼくたちだけで
騒ぐから。

たからもう、
そんな目で見ないで。
でも、
見られたって、いいように
ほら、
ぼくの顔、夜の顔をしているでしょう?









自由詩 ミッドナイト・ラブ Copyright 秋葉竹 2022-11-08 03:01:16
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