アースレジェへの帰還(七)
朧月夜

「なら、お前のことは信用できるな。ヨランよ、
 この地下室からの脱出通路を、俺に教えよ!
 今すぐにでも、エインスベルの救出に向かう」
「はっ。御身が思いますままの良きに」と、ヨラン。

ヨランは、このオスファハン邸については、
隅々に至るまで、調査していた。だから、今二人が脱出するための
経路についても、その頭のなかに思い描いていたのである。
(まずは、地下通路へと、アイソニアの騎士を誘うことだ……)

ヨランは、頭のなかで脱出法をためつすがめつした。
(今、オスファハンの眼前へと姿を現すことは、得策ではないだろう。
 昼を待つか? と言っても、今が昼なのか夜なのか……)
 
「ヨランよ、今の時刻を計る時はないか? 俺は夜を待ってから、
 このオスファハン邸を脱出したいと思う。異論はあるまいな?」
「異論など、あるはずもございません。しかし、今の時間については……」


自由詩 アースレジェへの帰還(七) Copyright 朧月夜 2022-10-30 16:20:10
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩