アースレジェへの帰還(六)
朧月夜

「今は龍族のことなど、放っておいて下さいませ。
 エイミノア様のことに関しては、残念でございました。
 ですが、今はエインスベル様を救う時です……」
「そうだった。エインスベル……」と、アイソニアの騎士。

「なあ、盗賊よ。その懐の魔法石で、本当にエインスベルが救えるのか?
 俺は、はなはだ疑問だ。そして、その命を賭したかのように見える、エランドル。
 その『死』も、初めから仕組まれたものではないのか?」
「エランドル様の生死、それが今重要なことでしょうか?

 わたしどもは、エインスベル様を助け、戦争を回避しなければいけません。
 騎士様、あなたの迷いは、ここでは放っておかれるべきものです」
「確かにそうだな。だが、どうやってここを抜け出す?

 ここは地下牢のようなものではないか? 俺にはそう見える」
「ご安心くださいませ。ここは、オスファハン邸の地下室です。
 わたしとエイミノア様とは、数日間ここに囚われておりました」


自由詩 アースレジェへの帰還(六) Copyright 朧月夜 2022-10-30 16:19:30
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩