老婆とポイントカード
宮木理人
朝起きて
窓を開け
詩を書きます
って言いました
そしたら俺は詩人になった
遠くで老婆がこっちを見ていた
階段を降りて玄関を出て
虹色に輝く木刀で斬り裂いた
あの老婆の
ポカンとした顔
ポイントカードはお持ちですかって聞かれたときの
俺のポカンとした顔
と似ていた
せっかく作ったのに
使われることのないポイントカードは
今どこにあるのか
詩だって作ったのに使われることはない
人は生きていると
世界との関係を組み替える
言葉が必要になる
木刀はごぼうに変わり
俺は自販機で買ったコーラを
自分の影にかけてから
家に戻った