雲になれたら
静
人は誓いを自ら破って
幾ばくかの情を亡くしていく
その繰り返しを見つめている
夕焼けを縁取る雲になりたい
古い映画に出てくるような
鈍い痛みに耐えかねて吸った
生まれて初めての煙草からできる
烟を集めた雲になりたい
夜四つの六畳間の帳で
半分に壊された人の傍で
地面を向いてもいいと諭す
そんな雲になれたらと思う
自由詩
雲になれたら
Copyright
静
2022-10-29 01:14:32