音楽が鳴る最中、音楽が終わった後で*
ひだかたけし
限りなく張り裂けていく哀しみ
限りなく開けて響きわたる歓び
あ 足裏 温まった熱廻った
花咲くココロ、
行き場はないんだ
行き場は切り開くもの
それにしても美しい日だった
雨に濡れそぼつ陽に燃え盛り
彼女は僕と同時に立ち上がった
瞬間の光景、
まだ口を利いたこともないのに
教室の廊下側と窓際、休み時間
眼と眼が合った
瞬間、
邂逅はあった、
確かに在った、
僕ら寄り添い
熱を伝えあい
暮れる茜の坂道を昇った
なのに目覚めた官能が邪魔した
なのに自らケモノが隔て別けた
バッカじゃねぇの
笑ってばっか、苦しんでばっか
結婚して離婚し
結婚して離婚し
働いて働き続け
鬱と希死念慮で
精神病院に滞在
今は肉の病煩い
今夜も更けて午前三時、
天使が大地を打つ、大地を蹴る
キオクのさらに奥に沈んで静んで
遡行する時間を生々しく体験して
行くぞ、明けの石段を登り
イクヨ、独り太陽を眼差し
奥まり落ち着いた意識、
言葉、吐き出す、
涌き出て無数無限
止まらない、留まる
この世界に
この感覚され思考され
過ぎ行くこの時に永遠を刻み
深い深い響きの渦に身を任せ
持続する旋律の残響に目覚め
*
限りなく張り裂けていく哀しみ
限りなく開けて響きわたる歓び
あ 足裏 温まった熱廻った
花咲くココロ、
行き場はないんだ
行き場は切り開くもの
混沌は、ディスコもベルリンも
もう 終わり過ぎた
彼女 は 行方不明 で イイ
この世界の深淵へ沈んで浮かんで集中して
この世界の神秘の手前へ後へ私をコロシテ
明ける界に肉身が震える
震撼と深閑とするこの心
そろそろ 貴女のお出ましだ
タマシイ 聴覚に現れ掴まれ
形象の魂の宴、
月明かりに照らされ
燃え上がる太陽を眼差す
音楽は終わった
もう一度、
明晰に覚醒した意識の下に
捕らえられない貴女の残像に
月明かりに照らされ
燃え上がる太陽を眼差し
もう一度
*U2に、吉井和哉に