アイソニアの騎士とエランドル(四)
朧月夜

「何をしていらっしゃるのです? エランドル様がお待ちです」
オーマルは、二人を手招きする。──そこには、ひとつの建物があった。
それは、アイソニアの騎士も、ヨランも、見たことのない様式のものだった。
岩のように硬い、それでいてそれほど頑丈そうにも見えない。

石造りの建築は、クールラントの首都であるカラスガラにもあった。
しかし、これはどうした訳か?
その構造物の高さに対して、それはあまりにも脆いように見えた。
だが、それは大空に向かって屹立している。

「あそこにエランドルがいるのか?」と、アイソニアの騎士。
「そうです。先ほどのドラグネイアスとの対話によって、
 エランドル様は、あなたがたを招くことを決断しました……」
 
「ふん。殺しが対話だとはな」アイソニアの騎士は憮然とした。
その彼を、ヨランが宥める。「騎士様。今は行くべきです」
「分かっている。おい、龍人の女。俺は決して妥協することはないぞ」


自由詩 アイソニアの騎士とエランドル(四) Copyright 朧月夜 2022-10-23 17:22:59
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クールラントの詩