やさしい涙
秋葉竹
スイレンの
花びらそよぐ細い声
夜を徹してなくひとのこえ
残りゆく
季節の色にいまだけは
むらさきいろに染まれ黄昏
まっすぐに
真っ赤な薔薇を好きと云う
ほどの豪奢なこころになりたい
階段に
転がる蝉の骸たち
わたしはちゃんと生きれていますか
できるなら
空がこぼした瞬間の
涙みたいなうたうたいたい
その胸の
ど真ん中にはだれが住み
だから清(す)んでいるというのか
真っ芯の
疾しい嘘を暴き立て
嘲笑(わら)うな嘘でもやさしい涙だ
花びらの
ただ音も無く散るさまが
胸の泉に落ちる、ひらひら