クーゲンドルにて(十五)
朧月夜
「汝が拒絶するのであれば、それも良い。だが、
それでは、虹の魔法石を与えることはできない。絶対にだ」
「それは、困ります。わたしどもはなんとしても、
エインスベル様を救わねばならないのです……」
「それは何のために?」落ち着き払って、ライディンゲルが尋ねる。
「ライランテ大陸の平和のためです。今、ライランテ大陸では、
次なる戦争が起ころうとしています。それを、エインスベル様の力で、
防いでほしいのです」ヨランは必死に言明した。
「祭祀クーラスとの争いだな。しかし、それも俗事。
戦争など、過去からいくらでも起こってきた。世界の改変なくして、
それを止めることはできない。それも、根本からの改変だ」
「あなたは理想ということに捉われすぎている。恒久平和など、
人間がかつて望み得たものでしょうか? わたしたちに必要なのは、
ひと時の平安です。愛する者の命です。そして、子孫を残すことです」
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クールラントの詩