クーゲンドルにて(十四)
朧月夜

「そして、エランドル様の目的とは?」と、ヨラン。
「すべての神々を抹殺することだ」ライディンゲルが答える。
「人一人を死に追いやっておいて、さらなる悪に身を染めよと?」
「そうだ。エインスベルになら、それが可能だ」

「……エインスベル様のことをご存じなのですか?」
「知っている。ここハーレスケイドでは、
 現世のすべてを見通すことが可能なのだ。
 ここでは、時間というものが止まっている。ここは、どこでもない」
 
「神学ですね。それとも哲学ですか? わたしが求めているのは、
 決してそういうことではないのです。人一人の命です。
 あなたは、それを無為に葬り去った。許せません」
 
「お前たちも、我らが同胞を殺したではないか? 等価交換だ」
「いいえ! 命とは決して等価交換されるものではありません!
 あなたは嘘つきだ! そして、エランドルという男も!」


自由詩 クーゲンドルにて(十四) Copyright 朧月夜 2022-10-20 22:51:30
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クールラントの詩