散逸〇独りの異人の声、聴きながら
ひだかたけし

冷たい風、
死者の影に
まとわりつく

あなたのいる限り
無限の光彩輝く限り

渦巻く潮の底、
ひっそり潜む
もの 想う

瞬く星は消え
高く高く、紅色に
明ける空、
百万の孔雀が羽広げ
朝焼け、輝く山並み
橙に染まり

奇妙な、生々しい
迫り来る
旋律の響き
湖面を渡りゆく
白い人、
聖書に火を放つ
世界に火を放つ

優しい柔らかい感触が
暗闇を通りやって来る
熱が七色の滝から流れ落ち
わたしを包み込む静謐
一体化し浮き上がる肉と魂

全てを 見据え、
全てを 受容し、
眠り込んだ
意識を起こす

*

冷たい風を浴び
死者が行く
闇の奥、光の中
渦巻く潮の底に
澄み住む、もの
燃えながら平静に
内面を曝す、個体

 鋭角に持続する時間は
 死の淵に流れ落ち
 神々の紫の眼が光る

荒れ果てた季節を乗り越え
わたしはあなたと向き合う

今、

横になりながら
飛び跳ねながら

独りの静謐な自我に聴き込り続け生き
孤独に起立する声に時の窪みへ導かれ

雨上がりの虹、最期に吸われた息、

あなたは永遠に若く すべてを注ぎ与えた



ーDavid ・Bowie に
















自由詩 散逸〇独りの異人の声、聴きながら Copyright ひだかたけし 2022-10-18 21:04:16
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