クーゲンドルにて(十二)
朧月夜

「果たしてそうかな? 我らは、汝らの運命を変えることもできる。
 もし望むなら、アースレジェの全てを支配できるであろう。
 だが、我らとて非道な存在ではない。人はドラゴンを敵と見なすが、
 元々は融和すべき存在であったのだ」ライディンゲルが続ける。
 
「人とドラゴンの融和など、考えられない! 俺は戦う!」
エイミノアが剣を抜き、ライディンゲルに斬ってかかった。
それを別のドラゴンが庇う。吹き出る血、また一つの命が失われる。
「我々は強くはない。神、悪魔、亜神、それに秀でたる存在はない」

「しかし……報いは受けてもらわなければならないようだ」
ライディンゲルが、レイゼル・ゲルン……魔法弾を打ち出す呪文を唱えた。
青白い光が、エイミノアの体を貫く。──彼は、絶命した。

「なんということを!」ヨランが嘆いた。(これでは、殺し合いではないか!)
「あなたは、先ほど融和と言いました。それを反故にするのですか?」
「人間もまた、意識共有体なのだ。そこにあるのは、ただの一個の屍だ」


自由詩 クーゲンドルにて(十二) Copyright 朧月夜 2022-10-18 17:43:58
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クールラントの詩