ミイラ
ひだかたけし

太陽が輝き
雨が降り注ぐ

この広大な墓地にて、

声を限りに叫んでも
誰にも届かない棺の中

沈黙の荒野を想起し
この砂漠で寝起きする

変拍子で進む旅
くぐもった声が絡み付く

水を求めて
根拠を求めて

底を割ったら
広がる果てない内界

彼は感じた、
混沌の宇宙を

彼は直観した、
闇に躍る無限の光彩たちを

沸き上がる痛みの渦のなか
絶えることない苦の響きに





太陽が輝き
雨が降り注ぐ
この広大な墓地にて

  *

ある日、棺は叩き割られ
干からびたミイラの開いた口奥から
鮮やかな紫の微光が放たれ続け

鮮やかな紫の微光が湧き続け














自由詩 ミイラ Copyright ひだかたけし 2022-10-17 20:08:50
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