ミイラ
ひだかたけし
太陽が輝き
雨が降り注ぐ
この広大な墓地にて、
声を限りに叫んでも
誰にも届かない棺の中
沈黙の荒野を想起し
この砂漠で寝起きする
変拍子で進む旅
くぐもった声が絡み付く
水を求めて
根拠を求めて
底を割ったら
広がる果てない内界
彼は感じた、
混沌の宇宙を
彼は直観した、
闇に躍る無限の光彩たちを
沸き上がる痛みの渦のなか
絶えることない苦の響きに
太陽が輝き
雨が降り注ぐ
この広大な墓地にて
*
ある日、棺は叩き割られ
干からびたミイラの開いた口奥から
鮮やかな紫の微光が放たれ続け
鮮やかな紫の微光が湧き続け