枯れた花ひとつ
エキノコックス
いつだったかは 覚えてないが
おとうさんは花束を俺にくれた
そのなかの一輪 土に挿してそだてた
おとうさんきらいじゃし進学して家出る
「一人暮らし、大丈夫か」
イヤホンしたまま自室ににげる
おとうさんうざい 絶対 家出るわ
花に水やることも忘れて勉強した
んで無事受かりました
花は乾いてすっかり軽くなった
俺の部屋の前には かなしくてうれしそうな
おとうさんの目があった
引っ越す時 花は枯れることで
おとうさんと俺の関係を証明した。
おとうさん大事だった
枯れた花ひとつ すてられずにいる
これからはお父さんと違う空気を吸う
これからはお父さんと違う空気を吸う
これからは