砂漠の行軍(一)
おぼろん

ヨランたち一行は、三日の間砂漠を旅していた。
オーマルに取りついたエランドルと話して以降である。
皆の喉が渇く、しかし、不思議に食欲は感じられなかった。
そして、三日という時間も彼らの体感時間でしかないのである。

なぜなら、このハーレスケイドという冥界では時が止まっているからだ。
「おい、盗賊。このままでは、エインスベルが処刑されてしまう。
 俺たちは、いつまでこの砂漠を渡って行けば良いのか?」
アイソニアの騎士は、喉の渇きに苦痛を覚えながら言った。

「いいえ、心配ございません。わたしどもがアースレジェへと帰るとき、
 エインスベル様はまだご無事でしょう。それに、リグナロス様が
 何とかしてくださいます。そんな気がするのです……」

「そのリグナロスとは何者か?」アイソニアの騎士が憮然として問う。
「エインスベル様が囚われている監獄の、看守でございます」
「ふむん。国家の犬か。信用おけんな」


自由詩 砂漠の行軍(一) Copyright おぼろん 2022-10-04 19:15:21
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩