朝、静かに
ひだかたけし
雨が降る
激しい、激しい
雨が降る
漆黒に濡れ光るアスファルト
雨垂れは規則的に軒先から落ち
わたしはコンビニのイートインにて
濃いアイスコーヒーを啜っている
さみしい気持ちとあこがれの波
遠く内から滲み出し
向かいのビルの部屋にともる灯り
通り過ぎる車の残像
すべては愛しいこの世のありさま
ふと気付けば
軒先下で煙草をふかす
若い女がひとり居て
剥き出しの二の腕が雨垂れに濡れ
白い光沢を放ち筋を引く
雨が降る
激しい、激しい
雨が降る
わたしは静かに
呼吸を繰り返す
銀に濡れ渡るこの世界に
そっと、そっと
歩み入り