朝、静かに
ひだかたけし

雨が降る
激しい、激しい
雨が降る

漆黒に濡れ光るアスファルト
雨垂れは規則的に軒先から落ち
わたしはコンビニのイートインにて
濃いアイスコーヒーを啜っている

さみしい気持ちとあこがれの波
遠く内から滲み出し
向かいのビルの部屋にともる灯り
通り過ぎる車の残像
すべては愛しいこの世のありさま

ふと気付けば
軒先下で煙草をふかす
若い女がひとり居て
剥き出しの二の腕が雨垂れに濡れ
白い光沢を放ち筋を引く

雨が降る
激しい、激しい
雨が降る

わたしは静かに
呼吸を繰り返す

銀に濡れ渡るこの世界に
そっと、そっと
歩み入り







自由詩 朝、静かに Copyright ひだかたけし 2022-09-19 10:48:51
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