風は吹いている
ひだかたけし

風が吹いている
風は絶えず吹いている

新たな行為をしよう
この現実に刻み込む
新たな行為をしよう

この生は死と共に終わる
君は、
生きる気力がどうしても湧かないまま
暗闇にずっと横たわり目覚め
死を夢みているのかい?
涅槃に行きたいのかい?
物質に回帰したいのかい?

僕は君のことを深く理解してないのかもしれない

この生を、このたったひとつの生を

響き合えれば、あなたと
 あなたにはあなたの背負っている重荷がある

響き合えれば、じぶんと
 じぶんにはじぶんの背負っている重荷がある

わたしはわたしを刻み込む
この無常なる生の世界に
あなたはあなたを刻み込む
この無常なる生の世界に

私たちはいつかいずれ終わっていくだろう
忘れられない生の瞬間を想起しながら

風が吹いている
風は絶えず吹いている

この行為の瞬間に
この詩想の瞬間に
開かれ現れる光景を、

浮き立つ世界と一体化しながら
自分もその一部として
鮮やかに在るという光景を、

導きの灯火としてかがけ

私は生きる、
今を、今日を

死という終わりを受け容れ
死という深淵を受け容れ
死という神秘を受け容れ





自由詩 風は吹いている Copyright ひだかたけし 2022-09-17 18:01:56
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