流星女王
秋葉竹




エリザベス女王の葬送を報道するニュースで
ス────ッと流星がひとつ流れたのをみた
それまでなんの想い入れもなかったけれど
きっとあの方は正しい嘘も
いっぱいついてこられたんだろうなと
その正しさを星が最後に祝福しているのかなと
ふと想って流星の詩を書いた

───────────────────


(流れ落ちたのは、葬送の終わりに)

その唇、きっとホントを喋ってない甘く温かいね

抱きしめてよ流星、憎しみのすべてを流してよ

蕩ける背骨、甘めに味つけしたのね今夜のキス

カンタンに「キライよ」って云えるのは、羨ましい

木霊する数多の星の声、夏の終わりの訃報

今尚、引き返せないのは傷んだ日常が血を流すから

幾たびも美しい夜を越えて、ようやく眠れる亡骸

流星、美しい女王の死を優しく悼みス──ッと流れて








自由詩 流星女王 Copyright 秋葉竹 2022-09-16 06:16:45
notebook Home 戻る  過去 未来