足りないんだ、終われないんだ
ひだかたけし
手を握って
抱きしめて
温めて、温めて
でも、
それだけじゃ足りないんだ
*
岩肌が凍り付いて銀に光輝く
あの雪峰の頂を目指そうよ
うねる青い海原に
我を忘れてジャンプしよう
そこは内も外もないところ
そこは上下左右もないところ
僕らが属するあまねき故郷
意識の壁を超え澄みわたる
透明な雨音の連弾
僕の身体は冷えきって
血縁を突き抜ける
群れる排他的集団を逸脱し
依存し合う関係を壊し
ひとりぼっちも踏み越え
内なる深い泉に意志し飛び込む
沈んで沈んで、底に達し底を抜け
其処で
僕ら、新たに繋がり響き合う
其処で
僕ら、新たに熱狂する
*
手を握って
抱きしめて
温めて、温めて
でも、それだけじゃ足りないんだ
でも、それだけじゃ終われないんだ