さみしい青さ
秋葉竹



翼が
溶けてゆく
悲しみに泣く天使は

今が
どれだけ大切なときなのか
わかっているのだろうか

泣いているときではないと
わかっているのだろうか

ほんとうのことを
云ってあげようか

天使だって
泣いたって
いいんだよ

べつに
吸血鬼の美しさに
見惚れてしまったって
いいんだよ

いまはちょっと
悲しみばかりみえるから
彼女たちに
キスしてもらいたい

くびすじに

そして
吸血鬼の眷属にしてほしいと
想ったって
いいんだよ

だれも傷つけず
生きてゆきたいと
夢みたいな願望を聖杯に
祈ったけど

だれからも
傷つけられない日常を
祈ったほうがよかったかな

生まれ落ちて
生きてきたその日々を
なぞり書きしてるだけみたいな

そんな日々のなかで
天使に出逢えた幸せと

天使を喪失した
悲しみを

たぶん心が濡れてしまった
ただの心の弱さが受けとめられなくて

ただ晴れわたった空に
天使たちの乱舞をみた気がした

あゝ、
そうだよ
そこで煌めくのは
ただの
流星のような儚さなのかもしれないけれど












自由詩 さみしい青さ Copyright 秋葉竹 2022-09-04 19:28:21
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