ヨランの挑戦(二)
朧月夜
「アイソニアの騎士よ。あなたは、幽冥界というものについて、
あまりにもよくご存じありません」アイソニアの騎士が何事かを言い出す前に、
盗賊ヨランは、まるでみずからがリーダーでもあるかのような、
口調で言った。その物言いに対しては、エイミノアも驚く……。
「こんな盗賊に、我らは、我らの命運を賭けてしまっても良いものなのか?
それも、エインスベルをも巻き込んで。この旅が、もしも実を結ばなかったとしたら……
ヨラン。端的に説明せよ。ここはどこなのか?」
アイソニアの騎士は言い切って、その両手剣で大地を突いた。
そして、ヨランも息を呑む。「ここは……」皆が彼を見すえた。
「ハーレスケイドの中枢部にほど近い、メルロトーツという、神殿でしょう」
「メルロトーツ?」アイソニアの騎士が、訝しげに首を傾げる。
「はい。この世界を瓦解させた『言語崩壊』、その大災害当初から存在した、古代都市の一部なのです」
ヨランは、それまでの秘密を振り払うように言った。
アイソニアの騎士、そして、エイミノアの額に汗が流れる。「ここには、過去の世界が残っているのか?」
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クールラントの詩