アースランテのヨラン(三)
おぼろん

「馬鹿な。アイソニアの騎士は裏切り者だ。
 いつ世界を裏切るやも知れぬ、悪党だ」エイミノアは切り返した。
「一人の悪党にも、五分の魂というものがあります。
 わたしはそれに賭けたいのです」ヨランは気迫を持って言った。

その威厳に、エイミノアも気圧される。「では……」
「アイソニアの騎士は、きっとエインスベル様を救ってくださいます。
 今は、それに賭けるしかないのです」
「お前の言う通りかも知れぬ、しかし……」エイミノアは迷っていた。

その時、部屋の扉を押し開けて、荒々しく入って来た者があった。
何を隠そう、当のアイソニアの騎士である。
「この、こそ泥め、今度は何を目的にして、押し入った!」

アイソニアの騎士は息巻いていた。しかし、次の瞬間「お前は……」
アイソニアの騎士は息を呑んだ。そこには、自分の敵となった者、
クールラントの盗賊ヨランと、エインスベルの傭兵エイミノアが待ち構えていたのだ。


自由詩 アースランテのヨラン(三) Copyright おぼろん 2022-08-10 01:51:03
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