アースランテのヨラン(一)
おぼろん

「そうです。ここはまぎれもなく、アイソニアの騎士の私邸です。
 あなたも薄々、そのことは感じていたのではありませんか?」
「なんと言うことだ、一度ならず二度までも、他人の家に侵入するとは……
 お前は良心というものは、持ち合わせてはいかないのか?」

「良心は持ち合わせております」ヨランが答える。
「しかし、これは致し方ないことなのです。
 まもなく、アイソニアの騎士がやってくるでしょう。
 わたしたちを不審人物だと思って」ヨランはやはり淡々としている。

(この男に動揺や恐れというものはないのか?)
エイミノアは揺れる心のうちで、ヨランの思惑、計略を探ろうとしていた。
「この男の行動、まったく予測つかない。アイソニアの騎士を巻き込んで、どうしようと言うのか?」

「再三申し上げますが、ご心配には及びません。
 アイソニアの騎士は、なによりも義を重んじる方です。
 一時でも味方になった者を見捨てるようなことはしますまい……」  


自由詩 アースランテのヨラン(一) Copyright おぼろん 2022-08-10 01:47:47
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