均衡
ひだかたけし

向こうの山に陽が沈むころ
痒みは痛みに変わるだろう

肉身がたましいに迫っている
普通でいられぬ苛立ちが
切迫した恐怖となる

救いはない
死の蒼い顔が踊る
今頃、娘はどうしてるだろう?

風吹く音を聴いている
わたしは透明になっていく
広がる広がる青い空

精霊たちが舞い降りて
たましいの強度をはかっている

たましいの強度をはかっている

  *

未完成のわたくしが
今、此処で息を継ぐ


自由詩 均衡 Copyright ひだかたけし 2022-07-11 19:46:05
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