盗賊ヨランの旅(六)
おぼろん

グルレッケたちは獰猛だった。ヨランとエイミノアを食餌にしようと、
襲い掛かってくる。ここは荒野、誰に助けを求めるべくもない。
エイミノアが一頭のグルレッケに向かって斬りかかる。
しかし、群れの長を相手にしなければ、意味がないであろう。

「クソっ、グルレッケにとっては自分たちは餌にしか過ぎないか!」
その横から、ヨランが声をかける。
「決して油断なさいませぬよう。そして、狩り過ぎてもいけません。
 グルレッケは、すぐに仲間を率いて戻ってまいります」

「そうだな。グルレッケは狼のような者どもだ。
 すぐに仲間に助けを求める。これは厄介なことになったな」
「そうでしょうか……」盗賊ヨランはそう言いながら、

グルレッケの目に向けてダーツを放つ。──これが盗賊の戦法か?
と、エイミノアは思った。エインスベル様の従属を務めているだけのことはある。
「ヨラン! 先ほどの魔法弾はもうないのか?」エイミノアが叫ぶ。  


自由詩 盗賊ヨランの旅(六) Copyright おぼろん 2022-06-29 19:13:17
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