鉄橋の下で
ちぇりこ。

それから
100年も過ぎたような笑顔を見せた君は
振り返らなかった
ぼくたちの間には、鉄橋が
背の高い、ぼくの背よりも
ずっと、ずっと高い所にあって
ぼくたちの距離感をもってしても
届かない高さで
そこはとても見晴らしがいい
鉄橋の上では
歯車のような風が通過する度に
知らない国の、知らない二人の
知らない歌が通過する
初めて聴くその歌を
ぼくたちは産まれる前から知っている
いつか失くした歌

ぼくたちの間には
ずっと、ずっと背の高い鉄橋が
またいでいて、ぼくたちの距離間は
埋まらない歌で溢れている
100年も過ぎたような問いかけは
歯車のような風の音に
かき消されてしまって
君に届かない


自由詩 鉄橋の下で Copyright ちぇりこ。 2022-06-26 22:51:58
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