鉄橋の下で
ちぇりこ。
それから
100年も過ぎたような笑顔を見せた君は
振り返らなかった
ぼくたちの間には、鉄橋が
背の高い、ぼくの背よりも
ずっと、ずっと高い所にあって
ぼくたちの距離感をもってしても
届かない高さで
そこはとても見晴らしがいい
鉄橋の上では
歯車のような風が通過する度に
知らない国の、知らない二人の
知らない歌が通過する
初めて聴くその歌を
ぼくたちは産まれる前から知っている
いつか失くした歌
ぼくたちの間には
ずっと、ずっと背の高い鉄橋が
またいでいて、ぼくたちの距離間は
埋まらない歌で溢れている
100年も過ぎたような問いかけは
歯車のような風の音に
かき消されてしまって
君に届かない