手紙6
武下愛

あなたはことばにまどわされてしまいますね。ひとのあくいしかかんじないという。じゅんかんからときはなたれますように。ことばにはおもみがありますね。じじつとはちがうことばをいえば、そのことばはかならずかえってきます。だからこそだいじにことばをあつかうあなたを、わたしはみつめているのでした。いまではもうとおいところまでいってしまったようにかんじます。ことばはどうしてもおもうようにあつかえないこともありますが。げんかいをもうけずにいどみつづける、あなたのすがたをいつもみまもってます。ときどきふあんなことを、ちがったさいんでだす、あなたにいつもきづけるわたしであれるように、いたいとおもいます。すくなからずのことばですが、じがをときはなつすがたはとても、じぶんにはないもので、えいきょうされないことがすくいです。おたがいちがうみちにいるので、とてもふしぎなかんかくですが。これからもよろしくおねがい、いたします。

あなたがむかうところは、だれかをまもるためにむかうのだとおもっています。ひとりでかかえこみすぎては、はきだせなくなるときには、たよってくれることがとてもうれしいです。けっきょくはのぞむことがだれかのしわせであることが、あなたのささえになっていることが、こころからうれしいのです。ふしぎですね。ちがうみちでおなじことをしているので、ふしぎとことばがながれるようにでるんです。うそのことばはいつもかんがえてしまって、ことばがつまってしまうのに。ことばにすることがかたちとしてのこるのは、ほかでもない。だれかのおかげなのだとおもっています。あなたのみちはいばらです。わたしはちがういみで、いばらのみちをすすんでいます。おたがいのもとめるかたちがおなじであるのは、かわらないのですが。とてもむずかしくかんじています。

であいかたがさいあくだったあなたは、いまなにをしているのかしりません。わたしがわかいころとても、あなたをきずつけたことをもうしわけなく、おもっています。むかしはとんがることが、つよさだとおもっていました。きずつけあうことがあたりまえだと、おもっていたじきでした。かんがえのちがいをうけとめられなかったじきにであったばっかりに。おたがいがきずつくだけでしたね。いまのじぶんがあるのは、あなたのおかげであるとおもえます。わかいうちにくろうをしたけれど、いまはとてもしあわせにすごせています。さまざまなことでおもいなやむことはありますが、おもいだすと。あなたのことをしらずにいる。じぶんはそんをしているなっておもっています。かかえられることではなかったじきがあったこと、くやんでしまいますが。あなたのおかげでだれかにやさしくあろうとする、じぶんがいます。きっかけをあたえてくれてありがとうございます。

あなたはわたしにさむさをおしえてくれました。あなたがあたたかかったおもいでばかり、ぽろりぽろりと、なみだをつたえていくんです。あなたをおもいだすたびに、わたしはさむくなってしまいます。ながねんおもっていたのは、じぶんがどれだけめぐまれていたかを、おしえてくれたあなたを。わたしはいまもむねにいだいて、いきています。もしあなたがおなじきもちであると、いいなとおもいますが。わたしがおさなすぎるので。あなたににあうひとにはなれそうにないです。おさなさだけがまだのこっているんです。わけあたえることがすべてなじぶんです。あなたをじゆうにするというめいもくで、じぶんがじゆうになりたかっただけなのだと、おもっています。しばられることもあるけれど、それだけのおもいがあるのだとおもっているじぶんです。もしちがったかたちでであうことがあれば、そのときは、みとめあえたらいいですね。

あなたからまなんだあいはいまだに、うけついで、うけつがれています。ふあんなときにおもいだすことがあっても。おもいだすたびに、であえたことのいみについて、かんがえるじぶんがいます。であえてなければ、であうことをあきらめていたら、わたしはあいのいみもしらずに、いきていたかもしれません。かたちがないあいをおしえてくれた、あなたは。いまでは、やすらかにねむっていると。きいています。つたえられないかんしゃで、いっぱいになることがあります。あいするということを、つたえることを。おそれることもあります。ときとばあいで。つかいわけないといけないということが、いきていくうえでとてもじゅうようなのだと、わかっています。それでもまげてはいけないことをまなんだのも。あなたのおもいがあったからでした。いつもみまもってくれてるのだと、おもっています。まもられてるのだとおもっています。おもいでに。


自由詩 手紙6 Copyright 武下愛 2022-06-16 06:09:29
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