笑顔を輝かせて──さくらいろ──
秋葉竹
荒々しく
新しい風が
吹き狂う
この街に来て
みまわすと
あたりには
傷ついた花が
倒れている
地面に倒れこんで
砂の粒を噛む
なにも匂わない
花は死んでいるのか
怒りにも似た
悲しみが
目のまえを
真っ暗にする
空を覆う灰色の雲は
徐々に黒く
呪われていくかのよう
ただ冷えたアスファルトに
降りだした大粒の雨は
私を避けて
くれているかのようだ
不思議でもなんでもなく
仰向けになって
仰ぎみるとそこには
泣きそうに震えた君が
私に大きなさくらいろの傘を
さしかけて
くれていた
そこには
心まで冷たくて震えているくせに
けんめいに明るい笑顔をみせて
泣きそうになりながら
笑いかけてくれている
きみがいてくれた
冷えたアスファルトがどこまでも
つづくこの街の闇の奥にも
私をみていてくれる
君はいてくれた
荒れ狂う虚空の彼方に
捕らえられた過去を
振り払うことができるかも
しれないと思わせる
笑顔を輝かせて
さくらいろの
笑顔を