縫い綴じられない赤い糸
涙(ルイ)

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心なんか壊れちゃえばいいのよ
中途半端に正常なもんだから 
痛みなんか感じてしまうのだもの 
ならばいっそもう修復不可能なくらい 
粉々になってしまえばいいんだわ 

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期待なんてするから傷つくんでしょ 
最初からなにも期待しなければ 
何も起こらない 何も傷つかない 
それが物の道理ってもんなのよ 
よく覚えておくといいわ

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どこにいるの 
あたしは一体どこにいるの 
ここにいるじゃない 
あなたはいう 
あたしはいう 
どこに ここに 
ここってどこ 
あなたの中にあたしはいない 
どこを探しても どこにもいない

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埋まらない淋しさを紛らすために 
手帳はいつも予定でいっぱいにしてるの 
そうでなきゃあたしきっと 
どうにかなってしまいそうだから

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そうね退屈だったから 
時間潰しにはちょうどよかったわ 
あんたは人の時間なんてお構いなしに
深夜でも平気で電話してきたけど 
それに文句も云わないあたしも どうかしてたんだわ

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皮肉なものよね 
やさしくなりたいと 
そうつぶやいたときから 
あたしとっても イジワルになってきたわ

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生ぬるいことなんか大ッ嫌いよ 
打ちのめすならどん底まで打ちのめしてよ 
それができないのなら 
あたしになんかにかまわず 
さっさとどこか遠くへ消えてしまえ

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できることなら私のこの全身を流れる血液を 
まるごと全部とりだして 
洗濯機でじゃぶじゃぶ洗ってしまえたらいいのに 
真っ黒に汚れたこの血も
漂白してしまえたら
きっともっとずっと 楽に生きていけるのに

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笑ったってひとり
泣いたってひとり 
ため息ついたってひとりっきり

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僕が死んだとき 
君がそっと思い出してくれるなら 
僕はもうそれだけで 
それだけで十分です 
どうか僕を 君の思い出にしてはくださいませんか 
君の心の端っこに 僕を置いてはくださいませんか

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明日死ぬって云われても後悔しない生き方をしなさいって 
云ったのは確かニーチェだったかしら 
何だったら今すぐその包丁で 
私を刺してくれてもかまわないのよ

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あしたがどっちなんて 
あたしにはもうカンケイないの 
どうせ行き着く先は決まってるんだし 
だったら どこをどう歩いたって
同じことじゃないの

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サイズの合わない靴を 
どんなに靴擦れしても 
まめが潰れて痛くて仕方なくても 
ずっと我慢して履き続けてる  
たぶんそれがきっと あたしなんだと思うわ

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最初からなにもかもちがっていたの 
あなたにはちゃんと帰る場所があった 
ちゃんと愛してくれる人がいるじゃないの 
解ってもらえないなんて 
簡単に云うものじゃないわ

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出逢わなければ 別れることも悲しむことも知らずにすむのにね 
傷つくことも泣くことも覚えずにすむのにさ

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あの人は私をすべて覗き込む 
あの人といると私は何も云えなくなってしまう 
あの人はすべてを知っている 
私の弱さもずるさも汚らしさも

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プライドを捨てられないから 
いつまでたってもひとりぼっちなのねと 
あなたの最後の言葉が いまも耳から離れない

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振り払うものなんてなにもありゃしないのよ 
あたしにあるのはただ このちゃちな自己愛だけ

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みんな自分が大好きなくせに 
器用に自分を演じてるくせに 
どうしてそんなに 辛そうな顔してみせるのかしら 

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信じたり疑ったり嘆いたり悲しんだり恨んだり憎んだり 
お忙しいことだわね まったく人間様とやらは

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淋しいの虚しいの人恋しいの泣きたいの叫びたいの 
私ホントに生きてる?

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わたくしのこの悲観測定値は 
今夜も規定値を大幅に超えてしまいました

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生まれた日に云うことでもないけど 
私は今日も死ぬことばかり考えていました 
あいすいません

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自嘲する価値もないわ 所詮私の人生なんて

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勝ってうれしいはないちもんめ 
あのコはいらない 
あのコじゃわからん 
いらないコは私です

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あの服がほしい 
あの靴がほしい 
あのバッグほしい 
あのペンダントほしい 
だけど一番ほしいものは 
いつだって手に入らない 
いつだって

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感情にもそれぞれ色があるのだとしたら 
私のこの行き処のない思いは一体 
何色をしているというのでしょう

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しんどいよってただひと言つぶやいただけで
誰もいなくなってしまったわ
何でも云っていいからねって
そんな言葉は一番信用してはいけない言葉だった
悪いのは多分あたしの方ね
そんなことさえわからなかったあたしが
きっと一番悪いのよ

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小さなことをおろそかにしてはいけません 
些細なことがつもりつもって
やがてとても大きな 大きな過ちを犯してしまわないように

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どんな言葉だって人は傷つくものよ 
たとえば「愛してる」という その言葉でさえも

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傷ついた人はね 
自分が傷ついた以上に 
他人を傷つけたがっているものなのよ 
覚えておきなさい

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他人の悲しみで涙を流すお前は 
どんな偽善者よりも性質が悪い

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私という人間は ただ35.5℃の体温と 
どこかで拾ってきたような言葉を放熱しているだけの
しがない生命体でしかないのです

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今日もボクはこうして 
何もしない、ということを 
起きて寝るまで 律儀に行ってみるのでした

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自由詩 縫い綴じられない赤い糸 Copyright 涙(ルイ) 2022-05-27 20:14:54
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