風見鶏の歌
ひだかたけし

のんびり呑気な春の午後、
わたしは歯軋りしながら布団のなか
つかの間の均衡に憩っていた

虚しい色の風見鶏
誰かそれを呼んだのか

昨夜は本当に惨かった
疼痛宿痾の眼底痛
狂う、も自殺も切迫して
痛みの嵐に耐えていた
夜明けまでずっと耐えていた
ひたすらじっと耐えていた
(傷口に塩を揉み込むような激痛が
ギチギチギチギチ沸き起こる)

虚脱の色の風見鶏
誰か彼を呼んだのか

のんびり呑気な春の午後
わたしは歯軋りしながら布団のなか
つかの間の均衡に憩っていた

外では紫陽花の花房が
ゆらんゆらんと
揺れていた



自由詩 風見鶏の歌 Copyright ひだかたけし 2022-05-23 18:07:39
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